日本社会の深刻な人手不足を補っているのが外国人労働者。日本で働く外国人労働者は年々増加しており、2017年には過去最高の128万人を記録しました。
そしてさらに、2018年10月、政府は外国人労働者について、永住も可能となる在留資格の創設など新たな受け入れ制度の骨子を国会に提出。
外国人労働者がより身近になってきそうな近い将来、「外国人社員と日本人社員との社内コミュニケーションをどのようにはかっていくか」大事なポイントとなってきそうですね。
ちなみに、「外国人と一緒に働くコミュニケーションの取り方について」(はたらこねっと:2017/9/10~2017/10/9期間調査)によると、「外国人と一緒に働いたことでよかったことは?」では、
とあります。一方で、「外国人と一緒に働いたことで困ったことは?」では、
という結果が。やはり「意思疎通」など、コミュニケーションに関する問題が上位を占めていますね。
仕事の現場で解決すべきはもちろんですが、仕事を離れて社内イベントを企画するのも、意思疎通を活性化させるひとつの方法と「社員旅行net」編集部は考えます。
そして、せっかく日本で働いているのですから、日本のことを知ってもらいたいですよね。ということで、今回は、外国人社員と一緒に日本文化を体験する社内イベントをご紹介します。
以前に、大阪・京都編で外国人社員を誘っての社内イベント提案させていただきましたが、今回は東京編です。
■もくじ
1)外国人社員と一緒に体験したい!江戸風鈴づくり(篠原風鈴本舗)
2)外国人に人気の高い日本食「そば」を「そば打ち」から体験してみる(江戸東京そばの会)
3)ガラスに彫刻するワンダフルな体験!江戸切子づくり(すみだ江戸切子館)
4)ユネスコ世界無形遺産にもなった「手漉き和紙」を外国人社員と一緒に作る(小津和紙)
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風鈴は日本文化特有のもの。外国では、ウィンドチャイムをドアに飾っている家もありますが、風鈴のように「音で季節を感じるもの」というものではありません。
でも、そんな夏の風物詩と知られる風鈴も、平安・鎌倉時代には、外から疫病神が屋敷の中に入るのを防ぐものとして、一部の人たち(貴族の間)で重宝されていたものでした。
享保年間になるとガラス製の風鈴が出始めましたが、当時はガラスの原料を作る技術が普及していないこともあって、ひとつの風鈴で200~300万円もしていたそうです。ビックリですね!
ガラス製品が安くなった明治20年代になると、一般の人たちの間にも風鈴が浸透しはじめ、風鈴は全盛を迎えます。※参考:篠原風鈴本舗「江戸風鈴の歴史」
俳句では夏の季語として使われる風鈴ですが、「風が吹いて風鈴の音がなり、涼しさを感じる」という感覚は日本ならでは。
そんな風鈴の歴史、風鈴と日本人の関係性について、日本人社員が外国人社員に話してあげるのもいいかもしれませんね。
今回、風鈴づくりの体験ができる施設として紹介するのは大正4年創業の老舗「篠原風鈴本舗」。二代目の儀治さん(現在は会長職)は「江戸風鈴」の名付け親にして名誉都民。
三代目の裕さんは江戸川区の無形文化財にも選ばれた名職人でしたが、2014年に他界。その後、裕さんの長女の由香利さんが、ご主人の公孝さんらと主に『篠原風鈴』の暖簾を守り続けています。
江戸風鈴の絵柄といえば「夏」を連想させるものが多かったのですが、由香利さんは昔ながらの技法を受け継ぎつつも、新しい感覚を取り入れた作品を次々に発表。外国人向けのネットショップでの人気も高いようですよ。
また、円谷プロとコラボレーションした「ウルトラマンシリーズ」の風鈴は、これまで江戸風鈴を知らなかった人たちとの接点にもなったそうです。
そして、由香利さんの代表作品ともいえるのが、東京の街並を切り絵風に表現した『TOKYO』(上の写真)。由香利さんは、この作品で東京都の伝統的工芸品チャレンジ大賞の奨励賞を受賞しました。
外国人社員も「Wow!」と声をあげそうなこの絵柄。こんな素敵な江戸風鈴を製作している篠原風鈴本舗で、風鈴づくりを体験できるとなったら、外国人社員もノリノリになってくれるのではないでしょうか!?
A)江戸風鈴づくり「絵付けだけ」の体験なら1時間
すでに形ができあがった風鈴に絵付けをするだけで、時間の余裕がない場合には、こちらのコースがおすすめです。ただし、風鈴の絵付けは絵が傷まないよう外側ではなく内側にします。この難しさを感じることで、職人のすごさも実感できるかもしれませんよ。このほか、ガラスをふくらます見学もできます。
※1~60名で約1時間/体験料金:1,500円(税込)
B)江戸風鈴づくり「ガラス吹き」からの体験
職人さんに手伝ってもらいながら、一人ずつガラスをふくらませ、ガラスが冷めてから絵付けまで体験できます。絵付けが終わったら、鳴らすように糸付けを行って、箱に入れてお持ち帰り!
ひとつひとつ手づくりなので、同じ形・同じ柄でも、それぞれ異なる音がするそうです。自分で作った風鈴にも愛着がわきそうですね。
※10名まで1時間ほど、30名で1時間45分ほど/体験料金:2,000円(税込)
篠原風鈴本舗では、繁忙期(7~9月上旬)と日曜・祝日をのぞき、江戸風鈴づくりの体験を電話で受付ています。
<取材協力> 住所:東京都江戸川区南篠崎町4-22-5 |
外国人に人気のある日本食の上位に入っているのが「日本そば」。ただ、そば通の人に言わせれば、「本当に美味しいそばを食べたければ、自分で打つしかない!」とのこと。そば好きの外国人社員が多い職場だったら、そば打ち体験を社内イベントとして企画してみてはいかがでしょうか?
京成立石駅にある「江戸東京そばの会」は、初心者からプロ養成まで行っている本格的な「そば教室」。「一日体験教室」では、ベテラン講師に教えてもらいながら一人500gのそばを打ち、できあがったそばを試食できます!また、余ったそばは、お土産にすることもできますよ。※写真はイメージ
江戸東京そばの会
住所:東京都葛飾区東立石3-24-8 |
ガラスの表面に彫刻で模様を施したのが始まりとされる「江戸切子」。日本人のみならず、江戸切子の繊細な紋様に惹かれる外国人も多く、江戸切子の老舗として知られる華硝(はなしょう)が製作した江戸切子は、洞爺湖サミットでは贈答品として用いられたとか。
そんな、日本を代表するガラス工芸品「江戸切子」を外国人社員と一緒に製作体験してみませんか?錦糸町にある「すみだ江戸切子館」は、江戸切子の製作体験が気軽にできるとあって人気の施設。
好きなグラスを選び、江戸切子独特の紋様を1時間ほどかけて削っていきますが、グラスをカットする機械が4台なので1コース4名まで。社内イベントの場合は、4名単位のグループに分かれ体験することになります。体験後、できあがったグラスを持ち寄り乾杯する機会を設けるのもいいかもしれませんね。※写真はイメージ
すみだ江戸切子館
住所:東京都墨田区太平2-10-9 |
パソコンやスマートフォンの普及により、文字を書く機会が減り、紙に触れることも少なくなってきました。でも、たまに紙に触れると「ほっ」とすることありませんか?特に和紙。和紙のあの柔らかな質感や、表面のざらつき感は独特ですよね。
2014年に「日本の手漉き和紙技術」は、ユネスコの世界無形遺産に指定されました。でも、それよりも30年以上も前に和紙の魅力に取り憑かれ、オランダから日本にやってきて和紙づくりを学び、高知県で土佐和紙の工房を開いた外国人がいます。オランダ人で和紙作家のロギール・アウテンボーガルトさんがその人。
ロギールさんが和紙について語る話の中で、たびたび出てくる言葉が「和紙には表情がある」というコメント。「日本人よりも外国人の方が日本文化の魅力に気づきやすいでは!?」と思わされたひとことでした。
ロギールさんの工房も気になりますが、手漉き和紙の体験ができる施設は東京都内にもあります。それが新日本橋駅(or小伝馬町駅)にある「小津和紙」。江戸時代から360年以上続く企業で、全国の手漉き和紙の販売やギャラリーの運営、手漉き和紙の体験講座なども行っています。※写真はイメージ
小津和紙
住所:東京都中央区日本橋本町3-6-2 小津本館ビル |
▼ その他の社内イベント企画のアイデア
今回は、外国人社員が参加する社内イベントとして、「江戸風鈴」「手打ちそば」「江戸切子」「手漉き和紙」の体験教室をご紹介しました。日本人でも体験したことがないというものもあるはず。
これを機会に、日本の文化、伝統に触れてみるというのもおもしろいのでは?
みんなで盛り上がれる社内イベントや面白いプラン、企画に悩んでいるという幹事さん。どうぞお気軽に『社員旅行net』にご相談ください。
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