社員旅行はいきたくない会社行事No.1!?しかし、社員旅行はチーム力強化やコミュニケーション力アップのために必要な行事として行われてきました。
コロナ禍でテレワーク(リモートワーク)が増え、打ち合わせも対面は避けてZoomやLINEなどのツールを活用し、オンライン会議や商談をメインにする職場が増え、コミュニケーション不足は深刻な事態に。
そんな中、社員旅行アレルギーを解消できるような魅力的で意義のある旅行プランが求められています。
今回は、企業が取り組むべき環境活動やボランティア、社会貢献など“CSR”を進めていく上で手助けとなる「サステナブルツーリズム」についてご紹介。避けて通れないSDGsへの取り組みや企業イメージを高めるための意識改革など、有意義な旅が実施できるプランについて特集します。
「CSR」とは“Corporate Social Responsibility(企業が果たすべき社会的責任)”という言葉の略称です。
企業は自社の利益を追求するばかりではなく、自分たちの組織活動が社会や環境に対して与える影響に対しても責任を持つことが大切であるということ。
顧客、従業員、取引先、投資者などのあらゆるステークフォルダー(企業が経営する上で、直接的・間接的に影響を受ける利害関係者)をはじめ、社会貢献や環境への配慮など幅広い視点から、適切な意思決定をすることを意味しています。
経済産業省でも企業会計、開示、CSR(企業の社会的責任)に関し、様々なステークホルダー間のコミュニケーションを促進するためのプラットフォーム作りを行っています。
日本では「CSR=ボランティア活動」ととらえることが多いようですが、企業が行うボランティア活動のゴールは「社会貢献している企業」としてのイメージアップを図る、ブランディングの延長上にあります。
それはあくまでも企業利益を得るための活動であり、CSRの目的とは異なるものであると考えるべき。CRS活動の結果として企業イメージが上がることはあっても、それがゴールではありません。
CSR本来の目的は「企業価値の向上」であり、企業の経済活動が生み出す社会などに対する負担をいかに軽減し、問題を解決していくかに注力することです。
サスティナビリティ(=Sustainability)とは直訳すると「持続可能性」という意味。環境や社会、経済と3つの観点から考えられることが多く、「よりよい社会を目指す」ためにそれぞれをバランスよく保ち、持続可能な状態を維持していくという考え方です。
最近よく耳にする「SDGs(=Sustainable Development Goals)」とは「持続可能な開発目標」であり、サステナビリティの考え方をベースにつくられたものであるといえます。
CSRは企業を主体として考えたものであり、サステナビリティは社会全体で取り組むべき問題。企業が環境・社会・経済に与える影響に配慮しながら経営活動をすることは、サステナビリティ向上にもつながることであり、CSRの延長上にサステナビリティがあるといってもいいでしょう。
企業が事業活動を通じてサステナビリティに取り組むことを“コーポレート・サステビリティ”と呼びます。
CSRは企業の経済活動のためのものではありません。しかしながら、コストをかけて行うものです。企業が取り組む上で得られるメリット・デメリットとはどんなものがあるのでしょうか。
企業の経済活動に直接寄与するものではないので、短期的にみればコストがかかるのに、効果測定ができないという判断になってしまうかもしれません。しかし、長期的な視点で見ればメリットの方が大きいことがわかるのではないでしょうか。
旅行業界でも「持続可能な観光」として、SDGsへの取り組みが活発化しています。一つはホテルで行われているゼロエネルギーへの取り組みやプラスチック削減、食事の廃棄などです。
また、気候変動による野生動物への影響や触れ合いを楽しむツアーの再考など、アクティビティに対しても検証が行われています。
SDGsには、観光先の魅力を未来へと引き継いでいくためにも重要な視点。“地域創生SDGs”として、観光庁からも「持続可能な観光ガイドライン」が示されました。
旅行や観光はこれまで施設を利用したり、資源などを消費するという視点で行われてきましたが、今後は地元の人との対話やつながりを持つこと、地域の特産品や工芸品を購入するなど、地方創生に貢献できる“サステナブルツーリズム”という考え方は無視できない潮流といえるでしょう。
最近注目されているのが「サステナブルツーリズム」。観光地の自然や文化、資源を枯渇させないよう、本来の姿を持続的に保つことができるように、企画開発やサービスのあり方を精査して旅行プランを考えていくことをいいます。
サステナブルツーリズムに必要なのは、地域に雇用創出や経済成長ができること、自然環境を守り、資源を活かしつつも枯渇させないこと、伝統・文化・歴史を学び相互理解や交流を活性化させることなどの視点。
企業の経済活動の延長でイベントや旅行を企画するのではなく、コーポレート・サステナビリティという視点を養う一助として、「サステナブルツーリズム」のガイドラインに沿ったプランを選ぶというのは大事なことなのではないでしょうか。
博報堂が行った「生活者のサステナブル購買行動調査2021」によると、男性10代~20代、女性10代で約4割の人が「社会問題に積極的に取り組む企業に就職・転職したい」と回答。若年層ほど、社会活動に取り組むコミュニティ・イベントなどへの参加に積極的という結果が得られています。
若い世代から特に支持を得られない「社員旅行」「社内イベント」ですが、サステナブルという視点やCSR活動の一環として行う旅行やイベントであれば“納得感”や“満足感”が得られるのではないでしょうか。
個々では環境に配慮した生活を実践したり、エシカル消費を心がけたいという思いはあるものの、時間的・費用的制約があり、行動に移せない人が多いことも事実。経済活動を主とする企業の意識から変わることで、そこで働く従業員の意識改革や積極的な取り組みを促すきっかけにもなります。
まずは旅行や観光から楽しみながらサステナブルに取り組んでみてはいかがでしょうか。
最近注目を集めているサステナブルツーリズムについてダイジェストにご紹介します。
旅館やホテルで提供しているアメニティを必要な場合のみ提供する、有償で提供するなどに転換し、プラスチックごみ削減に取り組むところが増えています。
星野リゾートではペットボトルの水をやめて、マイボトルの利用を推奨し、ウォーターサーバーを館内に設置していました。
また、軽井沢プリンスホテルでは「SDGsステイプラン」を提供。地域とつながりが持てる地元農家で農業を手伝うプランや森林保全の在り方について学べるプランなどを提案しています。
サステナブルといっても構える必要はなく、小さなきっかけづくりとして“持続可能な行動”とはどんなものであるかを知る上で、こういった取り組みを積極的に行っているホテル・旅館・リゾートを選ぶだけでも十分成果は上げられるのではないでしょうか。
約2000件の施設を掲載している「STAY JAPAN」。日本の地方のユニークな体験型宿泊施設に特化した予約サイトです。
“知らない日本に、泊まってみよう”をコンセプトに、農泊、漁師民泊、寺泊、陶芸家泊、古民家泊などの体験型宿泊施設を紹介しています。
地域、経済、教育、環境など様々な視点から、SDGsの課題解決を見据えて運営されているので宿泊することで貢献できるのがポイントです。
地域とコラボしたアクティビティやオプショナルツアーを実施している会社も増えてきました。例えば「THE THOUSAND KYOTO(ザ・サウザンド キョウト)」では、美山町とコラボして地元ガイドの案内による「かやぶきの里」プライベート見学を実施。
ユネスコ無形文化遺産に登録された「茅葺き職人の技」が生み出す感動的な景観と、地域の暮らしや思いを体感できるツアーに参加するとともに、参加費の一部は美山町の景観保全に役立てられます。
また、北海道の阿寒アドベンチャーツーリズム株式会社では、アイヌ文化と阿寒湖の自然、デジタルアートを融合した自然体験型観光コンテンツ「阿寒湖の森ナイトウォークKAMUY LUMINA」を2022年5月からスタート。
こちらの売り上げの一部を阿寒湖周辺の自然環境保護やアイヌ文化振興に役立ててもらうための寄付を行います。
島旅専門の旅行会社である南西旅行開発株式会社では、島の暮らしの持続性を考えた「島の風土探求」をテーマにした“風土ツーリズム”を提案。島の生活文化や暮らしに一歩踏み込んだツーリズムを体感できるように取り組んでいます。
宮城県南三陸町は、SDGsにつながる取り組みに積極的に取り組んでいる自治体のひとつ。町内から出るごみやし尿等をバイオガス・液肥としてリサイクルする「南三陸BIO」や環境や地域社会に配慮しながら持続可能な街づくりを目指す牡蠣の養殖、林業への取り組みと学ぶべきポイントがたくさんあります。
この他にも石川県白山市や長野県、北海道、北九州市、横浜市でも「SDGs未来都市」としての取り組みを実施。内閣府地方創生推進事業局の後押しを受けながら、今後もさらに活性化していくことは間違いないでしょう。
社員旅行の行き先やプランを決める場合の一助として、こういった取り組みの視察を盛り込むことで会社全体の意識改革に役立つこと間違いなしです。
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社員旅行に行きたくないという若手世代にも納得感・満足感の高いサステナブルツーリズム。企業が取り組むべきCSR活動への理解・促進の一助にもなります。
慰安やエンタメ要素も盛り込みつつ、サステナブルに取り組めるプランを提供できれば、モチベーションアップにもつながります。
ぜひ、実施を検討してみてはいかがでしょうか。
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