視察旅行とは、国内外の見本市・展示会やカンファレンスなどに参加をする、先進の技術を持つ工場や関連施設などを視察するために行う旅行のことです。技術研究や業界分析、商材発掘などを目的に行います。
視察旅行では、ネット検索等では得られない最先端の技術を肌で感じることができるメリットがある反面、コストがかかるのが難点。
そこで今回は視察旅行の費用を経費として計上する場合の注意点、経理処理の方法についてまとめました。
社員旅行の場合、社員に対する「福利厚生費」として計上できます。それでは視察旅行はどうなのでしょうか?
実は視察旅行、必要経費として認められる範囲が広いのが特徴なんです。それでは具体的に経費として認められる範囲と、勘定科目について具体的に解説していきましょう。
視察先の工場、店舗、研究所、海外の展示会・見本市会場、国際会議場まで移動で使った交通費は「旅費交通費」として認めてもらえます。ただし、以下の点に注意が必要です。
視察旅行がビジネス目的であることを明確にするため、旅行に関する資料、パンフレット、議事録、名刺、視察時の写真、報告書、領収書などを必ず残しておきましょう。
特に日程表には「いつどこで何のために誰に会う」というように、具体的に記載し、それを証明する資料(名刺・写真など)を添付するのがベストです。訪問先のスタッフなどと一緒に写真を残しておくのも大事です。
特に海外視察で渡航する場合は、国税庁から厳しくチェックされるので要注意!以下国税庁から「法令解釈通達」がでていますので、事前によく確認しておきましょう。
(1)団体旅行の主催者、旅行名、旅行目的、旅行日程、参加費用、その他の内容など
(2)参加者の氏名、役職名、住所など
業務が観光業の場合であれば、観光部分も視察に含まれますが、畑違いの業種なのに無理やり「視察」とみなすのはNG。業務と観光とは明確に区別して計上するようにしましょう。
ちなみに観光に要した費用を企業が負担した場合は、従業員への「給与」とみなされ、源泉徴収や社会保険料の対象になります。
訪問先の従業員や取引先の方と打ち合わせを行い、飲食した場合、1人5,000円以下であれば「会議費」として計上できます。その金額を超えたら「接待交際費」。
飲食代以外に「手土産を購入し、訪問先・取引先にプレゼントした」などの場合は「接待交際費」として計上します。
今後、事業に役立つ製品やサービス、技術などのリサーチとして国内外を視察するのが目的。当然、必要な技術を学ぶ、新商品の買い付けを行うことがあります。
これらの経費はどの勘定科目で計上したいいのでしょうか?一つは「研究費」として計上する。具体的には以下のようなものがあげられます。
また、セミナーや国際会議などに参加した場合の費用は「研修費」、展示会やエキスポへの参加費「教育訓練費」「取材費」、購入した参考図書や資料代は「図書費」として処理が可能です。
いずれの場合でも必ず研究の目的・内容・成果を写真や資料付きでレポートにまとめておくのが肝心です。
特に新しい技術や商品開発につながるヒントを探すため、視察に訪れる場合は特許取得の有無を調べておくことも重要。視察旅行の前に必ずホームページ等で確認してから訪れるようにしましょう。
求めている商品化の技術を擁する工場を見つけて、晴れて製品化を行うことができても、新商品が他者の特許を侵害してしまうこともあります。特許侵害となってはせっかくの新商品が台無しになってしまいます。
特に先進技術を使う場合は注意が必要なので、事前に調査をしておくことをおすすめします。既に特許が出されているかどうかを確認するには、特許調査が必要となります。
この特許調査の費用、勘定科目では「試験研究費」として計上が可能なようです(中小企業庁のHPより)。
この特許調査は特許事務所か特許の調査機関に依頼をすることができるので、製品化が決まったら一度依頼をしてみると良いかもしれません。特許調査の詳細については「知財タイム」で詳しく紹介されています。
実は特許事務所はそれぞれ得意な分野が異なります。「知財タイムズ」では複数の特許事務所をじっかり比較した上で、自分たちの業種や目的にぴったりのところを見つけることができるので大変便利!ぜひ、活用してみては?
特許出願のことなら【知財タイムズ】にお任せください。全国の特許事務所から、あなたにぴったりな特許事務所をご紹介。各事務所の料金・サービスを完全無料で比較ができます。簡単な質問フォームに入力で、今すぐ問い合わせが可能です。
ちなみに実際の特許出願には、特許庁に納める印紙代(租税公課)、弁理士や特許事務へ支払う手数料(支払手数料)として、経理上の勘定科目が異なるのでご注意を。
役員や従業員の家族を同伴した場合、原則として経費にはなりません。しかし、家族が従業員であれば勘定科目は「旅費交通費」として計上OKです。
ただし、家族経営などで子どもも同伴するという場合は個人負担にする必要があります。
また「海外渡航の目的を達成するために必要な同伴」として、従業員ではない家族の分も経費として認められるのは次のような場合(国税庁の法令解釈通達9−7−8「同伴者の旅費」より)です。
国内旅行の場合は、経費として求められるのは難しいかもしれませんね。
旅行会社で企画した観光ツアーや団体プランを利用し、現地での自由行動時間に視察を行った場合。あるいは、旅行先の視察としてこういった割安のプランを利用したいという場合もあります。
しかし、前述の国税庁の法人税基本通達9−7−7(業務の遂行上必要な海外渡航の判定)によって「以下のものは旅費交通費に該当しない」と示されています。
(1)観光ビザ等、観光渡航の許可を取得して行う旅行
(2)旅行斡旋業者が募集する団体旅行プランを利用して行う旅行
(3)同業団体が主催する団体旅行に参加して行う旅行で、観光目的と認められるもの
こういう場合は、視察を行った事実を証拠として残しておけば、経費として認められる場合があります。前述したように日程表や視察先の写真、報告書、名刺、議事録、パンフレット、領収書などを添えて、税務当局に提出できるようにしておくことが大切です。
ここで注意しておかなければならないのは「業務割合」。
経費のうち仕事の割合が90%以上を占めている場合は、全額経費でもOKです。逆に10%以下であればプライベートな旅行とみなされ、全額経費になりません。
視察に要した日数、観光に要した日数など細かい内訳が必要になりますので、ちょっと面倒!そんな場合は、法人向けの旅行会社にまとめてお願いするのがベストです。
既存のツアーでなくても、団体割引をうまく利用したオリジナルの視察旅行プランを提案してもらうのも手。ぜひ相談にのってもらいましょう。
視察旅行に参加する役員・従業員に対し、出張手当として一律支給することができます。通常だと経費として計上が面倒な接待交際費、現地でかかった雑費などもまとめて「出張費」扱いできるので便利。
出張手当はしかも給与課税されないので、消費税・所得税・社会保険料の対象にならないので法人税の節税にもなります。企業・従業員側双方にメリットがありますね。
ただし、出張手当として支給するためにはあらかじめ「出張旅費規程」を事前に作成する必要があります。
出張旅費規程には、目的や適用範囲、出張の定義などをきちんと定め、その内容が妥当であること、株主総会等で承認を受けていること、いくつか条件があります。また、出張手当を支給することで、逆にコスト増になる可能性も!
税理士などとよく相談し「出張旅費規程」を定めるべきか、判断するのが重要ですね。
視察旅行は社員旅行とは違った方法で経費計上を行う必要があります。現地までの交通費や現地での移動手段に罹る部分は「旅費交通費」として計上OK。
その他にも経費として認められるものがたくさんあるので、忘れずにチェックしておきましょう。
社員旅行の場合でもそうでしたが、特に海外視察の場合は要注意!
あまりにも高額な旅費(ファーストクラスやビジネスクラス往復利用、高級ホテルに宿泊など)は、個人旅行や給与とみなされることがあります。
旅行日程のうち、ほとんどが観光であり、視察の割合がほとんどない問い場合もNG。
経費処理する上でちょっと面倒だな・・・と感じたら、視察旅行に詳しい旅行会社に相談するのがいちばん!「社員旅行ネット」には、法人向け視察旅行専門の旅行会社が相談にのってくれますので、是非お気軽に問合せてみましょう。
【視察旅行の経費計上一覧】
内容 | 勘定科目 | 経費計上の可否 |
視察先までの交通費 | 旅費交通費 | ◎ |
視察先への手土産 | 接待交際費 | ◎ |
視察先との打ち合わせカフェ代など | 会議費 | ◎(5,000円以下) |
視察先との飲食 | 接待交際費 | ◎(5,001円以上) |
研究や調査目的で購入した商品・サービス | 研究費 | ◎ |
セミナーや国際会議の参加費 | 研修費 | ◎ |
展示会やエキスポへの参加費 | 教育訓練費・取材費 | ◎ |
参考図書や資料代 | 図書費 | ◎ |
視察先での観光やアクティビティ | 会社持ちなら給与扱い | × |
同伴した家族分の旅費 | 会社持ちなら給与扱い(従業員ならOK) | △ |
特許の調査費用 | 試験研究費 | ◎ |
※経費として計上する場合、視察旅行がビジネス目的であることを明確にするため、旅行に関する資料、パンフレット、議事録、名刺、視察時の写真、報告書、領収書などを必ず残しておきましょう。
※特に海外視察の場合は、国税庁のチェックが厳しくなっていますので要注意!
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