リモートワークやテレワーク、ノマドワークなどに代表的される「新しい働き方」。
これまで少しずつ日本社会に受け入れられつつも、広く一般にはなかなか浸透していないというのが現状でした。しかし、東京オリンピックや新型コロナウィルス流行の影響もあり、新しい働き方を導入する会社が増加傾向にあります。
一方で、テレワークやリモートワークなどの言葉を聞いたことはあっても、それぞれの違いや具体的にどんな働き方なのかはわからないという人も、まだまだ多いのではないでしょうか。
そこで今回は、新しい働き方の代表格である「リモートワーク」「テレワーク」「ノマドワーク」「ワーケーション」について、具体的な定義や違いをまとめてみました。
まずは、新しい働き方と呼ばれるものに共通する基本的な概念を確認しておきましょう。
新しい働き方とは主に、インターネットとパソコン・スマートフォンなどを活用し、自宅・カフェ・ホテルなどオフィス以外の場所で仕事をする働き方を指します。出社の必要がなくなることで、多くの場合、労働時間の縛りからも解放されるため、
主に上記の2点において選択の幅が広がることが、新しい働き方の最大の特徴であり魅力と言えます。他にも、満員電車に乗らなくて済む、ファッションに気を使わなくて良い、苦手な人付き合いに注力しなくて済むなど、人ぞれぞれ魅力に感じるポイントは様々です。
企業や会社の場合、社員がそれぞれの場所で働くことでオフィスの設備や光熱費にかける費用が少なくて済むなど、雇う側にもメリットがたくさんあります。逆を言うと、特に自宅を仕事場とする場合、会社で働くよりも水道光熱費がかさむのは見落としがちなポイントです。
それでも多くの人にとっては、自分の好きな場所・好きな時間に働けるリモートワークやノマドワークはとても魅力的な働き方です。
新しい働き方を導入すると、社員同士や取引相手と直接顔を合わせる機会は必然的に少なくなります。日常的なコミュニケーションは、ChatworkやSlackなどのコミュニケーションツール、Skypeやハングアウトなどのwebミーティングシステムを使用すれば、概ねそれで問題ないでしょう。
一方、実際に新しい働き方を導入している企業からは、対面でのコミュニケーションも大切にしているという声も多く聞かれます。具体的には、週や月ごとに対面でミーティングを行ったり、交流会を積極的に開催するなど、社員同士が直接コミュニケーションを取れる機会を意識的に作っているようです。
そういった視点から、社員旅行や社内イベントはこれからの時代も上手に活用していきたいツールと言えそうです。時代を反映した新しいイベントプランがこれからどんどん生まれてくることでしょう。
さて、ここからは一つ一つの働き方について掘り下げてみます。まずは「リモートワーク」から。
「リモート(遠隔)ワーク(働く)」とは言葉通り、オフィスから離れた場所で働くこと全般を指す言葉です。
加えて、「リモート」はコンピューター用語で“ネットワークを介して本体機器と他の機器を接続する状態”をさします。そのため、特に「リモート」という言葉に馴染み深いIT業界において、「リモートワーク」という言葉が使われる傾向が強いと言えます。
続いて「テレワーク」についてみてみましょう。
「テレワーク」の「テレ(tele)」も“遠い”“遠隔”という意味の接頭語です。telephoneやtelevisionなどの単語にも使われていますね。
言葉の意味だけ見ると「リモートワーク」と同じですが、「テレワーク」は日本テレワーク協会によって以下の3つを指す言葉として定められています。
さらに実は、テレワークの前身はサテライトオフィスなのです。
日本がバブル期真っ盛りだった頃、通勤問題は現代以上に深刻だったそう。その解決策として、ベッドタウンなど本社から離れた場所にもオフィスを置くようになったのが、日本におけるサテライトオフィスの始まりです。
その後、2000年に日本サテライト協会が日本テレワーク協会に名称を変更したことをきっかけに、テレワーク=在宅勤務・モバイルワーク・サテライトオフィスと定められました。
「リモートワーク」がIT系の企業や会社でよく使われる言葉であるのに対し、「テレワーク」は上で述べたような背景から、行政機関や自治体などでよく使われます。また、“雇用されている”ことを前提として使われることが多いのもテレワークの特徴です。
続いては「ノマドワーク」。
英語で遊牧民を意味する「ノマド」。そこからきている「ノマドワーク」は、遊牧民のように、自宅・カフェ・公園など働く場所を一ヶ所に定めない働き方です。
つまり、テレワークに含まれているモバイルワークとほぼ同義と言えますが、ノマド=遊牧民という言葉の持つイメージから、雇用関係を前提とされることの多いモバイルワークとは使い分けられていると言えます。
最後に「ワーケーション」について見てみましょう。
「ワーケーション」が日本で認知されるようになったのは割と最近のこと。まだ耳に馴染みのない人も多いかもしれません。
2000年代にアメリカで生まれた言葉で、ワーク(work)とバケーション(vacation)をかけ合わせてできた造語です。定例会議があるためにまとまった休暇を取れないなど有給休暇取得率の低さが課題となっているアメリカで、有給休暇取得率を上げることを目的として導入されるようになりました。
例えば、旅行中の決まった時間だけ、webミーティングシステムなどを使って会議に参加するといった具合です。遠隔で会議に参加することを公認されるので、まとまった休みが取りやすくなり家族旅行などプライベートのバケーションに充てることができます。
また、社員の中でチームを作り、そのメンバーで旅行へ出かけるという形でワーケーションを導入している企業もあります。旅先では、チームで取り組むための課題解決型プロジェクトなどが設定されています。
この場合、旅先だからこそ得られる視点や情報、日常から離れ開放的になることで生まれる自由な発想などを自社のビジネスに反映させることを目的としたワーケーションです。
最後に、今回取り上げた4つの働き方を簡単な図にまとめてみました。なかなか入り組んでいますね。
実際どれもかなり性質が似ているので、ややこしく感じるのは無理もありません。
「ワーケーション」は日勤・夜勤・フレックス制などと同様に勤務形態の一つであり、“雇用されていること”を明確な前提条件としていますが、「リモートワーク」「テレワーク」「ノマドワーク」には広義と狭義があると言えます。雇用関係の有無などの定義は、会社や企業、個人によって捉え方が少しずつ違うというのが現状です。
新しい働き方はこの先さらに多様化し、導入する企業や会社もますます増えていくでしょう。
働き方を選ぶことは、生き方を選ぶこと。これからの時代の流れに注目です。
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