数年前からメディアなどで盛んに取り上げられるようになった海洋プラスチックゴミ問題。マイバッグの活用やプラスチックストローの廃止など、個人ベースでも企業ベースでも様々な取り組みが見られます。
会社としてできることの一つとして、ビーチクリーンに参加してみてはいかがでしょうか。宮城県石巻市で2011年から“熱く、楽しく、ファンキーに!”をモットーにビーチクリーン活動を続け、社員研修やボランティアツアーの受け入れも行っている「石巻海さくら」をご紹介します!
「石巻海さくら」が発足したのは、2012年1月。石巻も大きな被害を受けた、東日本大震災から1年が経とうとしている頃でした。
石巻海さくら代表の高橋正祥さんの職業はプロのダイバー。石巻市の隣の女川町でダイビングショップも経営しています。
海は子どもの頃から身近な存在だったという高橋さんは、福島県いわき市にある海の近くの大学に進学。その頃からサーフィンを始め、ますます海で過ごす時間が長くなり、ご本人曰く、勉強そっちのけで海に遊びに行っていたとか(笑)
そう言いつつも大学はきちんと卒業し、その後一年間働いてお金を貯めるとワーキングホリデーでオーストラリアへ。そこでダイビングと出会い、本格的に海の中の世界に引き込まれて行きました。
それから10年経たないうちに地元を襲った東日本大震災。震災後、高橋さんはダイビングの技術と経験を生かして海中の行方不明者捜索活動に参加。
子供の頃から自分を育ててくれた海が瓦礫だらけになっている様子にショックを受けたことと、その時の捜索チームに宮城の人が自分しかいなかったことから、このままではいけないという思いは募っていきました。
そんな折に、かねてから知り合いだった湘南海さくらの代表・古澤純一郎さんと再開します。
そもそも「海さくら」とは、“目指せ!日本一楽しいゴミ拾い”をモットーに、2005年に湘南で設立された団体です。石巻海さくらはその支部として活動を始め、それを皮切りに海さくらの輪は日本全国、そして世界へと広がっていきます。
2019年現在、北海道から沖縄まで日本各地、そして遠くハワイやブラジルなど、24の地域で“海さくら”が発足、活動しています。
各地にある海さくらの中で、石巻海さくらの特徴は海岸だけでなく海の中も清掃すること。毎回ではありませんが、月に一度のビーチクリーンに合せて海中のゴミ拾いもしています。
夏場は海水浴場にもなる広い砂浜からリアス式海岸特有の小さな入江まで、活動する海岸は様々。場所や季節によって、捨てられたり流れ着くゴミの内容も様々です。
レジ袋やペットボトル、ビン、缶などよく見かけるゴミ(よく見かけること自体残念なことですが…)以外にも、牡蠣やホタテの養殖に使うロープや小さな部品など漁師町特有のゴミ、それから震災直後は車のタイヤなどもたくさん流れ着いていたと言います。
2012年から2017年4月までに回収したゴミの量は453,173L=ゴミ袋10,041袋分!現在は、活動開始当初と比べればだいぶゴミは減りましたが、拾う人いれば捨てる人あり?バーべキューの残骸がそのままゴミとして残されていることも…。
ここでちょっと質問ですが、海に捨てられたゴミが分解されてなくなるまでにどのくらいの時間がかかるか知っていますか?新聞紙なら約6週間、タバコのフィルターが約1〜5年、ビニール袋だと10〜20年、プラスチック製のペットボトルはなんと450〜1000年!
ガラス製の瓶に至っては約100万年とされています。途方も無い年月ですよね。
プラスチックごみが分解される過程で起きるのが、マイクロプラスチック問題です。
分解されて小さくなったプラスチックを魚介類が飲み込み、それを人間が食べることで人体内にも少しずつ蓄積されていくという話を聞いたことがある人は多いと思います。
大きさが5mm未満のプラスチック=マイクロプラスチックは海洋ゴミ以外にも飲料水や調味料、空気中にまで含まれていて、人間は少なくとも1週間でクレジットカード1枚分のマイクロプラスチックを知らないうちに摂取してしまっている、という研究結果も発表されています。
カタいことばかり書きましたが、ビーチクリーンを“熱く、楽しく、ファンキーに!”盛り上げたいという石巻海さくらのゴミ拾い現場は、いつも和気あいあいとしています。
「ゴミ拾いって、ついうつむいて黙々と作業しがちでしょ?でもうちのゴミ拾いは黙々としてるの禁止だから!(笑)」と話す石巻海さくらスタッフ。1人でも、子ども連れでも、誰でも参加しやすいビーチクリーンにしたい。
「“実はゴミをポイ捨てしたことあります”っていう人、意外といると思うんです。そういう人も、一度でもゴミ拾いをしたら次からゴミを捨てづらくなるでしょ?それもたくさんの人に参加してもらいたい理由の一つなんです。」
海と触れ合う機会を作ることで、海を愛する人が増えてくれたら。
石巻海さくらではビーチクリーンとセットでSUPやカヌー体験会を開催したり、地元の漁師さんたち協力のもとBBQをしたり、地元の小学生向けのシュノーケリング教室を開いたり、とゴミ拾い以外の活動にも積極的に取り組んでいます。
また、2017年からは海洋ゴミの調査にも取り組み始めました。
潮の流れがぶつかり合う“潮目”に集まったゴミを調べてみると、遠い外国から流れてきたであろうものも混ざっています。それと反対に、日本で捨てられたゴミが地球全体の海や海岸を汚しているかもしれない。
その現実が、今目の前の小さな海岸を綺麗にすることの根拠になるはず。
熱い思いで様々な視点から活動を展開する石巻海さくらでは、企業研修やボランティアツアーの受け入れも行っています。
月に一度の活動日に合わせて社員旅行や研修を組んでもいいですし、別枠での活動も可能だそう。費用は2万〜3万円前後とのことですが、人数などにもよるので、まずは直接問い合わせてみましょう。
人数や季節によっては、SUPやカヌーの体験とセットにしても盛り上がりますよ!
石巻海さくらのビーチクリーンと合わせて参加したいアクティビティや、おすすめの宿泊施設をご紹介します。
石巻はなかなかの広さなので、アクティビティの活動場所や宿泊施設の近くでビーチクリーンができるように設定できると、移動時間が短縮され旅行がスムーズに進みます。
2011年から石巻で活動を続ける公益社団法人 3.11みらいサポートでは、震災伝承プログラムに参加することができます。
実際に被災した語り部さんのお話や、ドローンやVRなどICT技術を駆使したプログラムは、変わりゆく被災地において当時のことを伝え続ける貴重な活動です。
メニューがたくさんありどれにすればいいか迷ってしまう時は、直接問い合わせてみましょう。目的や人数にあったプログラムをコーディネートしてもらうこともできますよ。
公益社団法人 3.11みらいサポート
所在地 〒986-0822 宮城県石巻市中央2丁目8番2号 2階
電話 0225-98-3691
メール info@311support.com
2019年にオープンしたばかりの「白浜ビーチパーク」は、潮の香りを感じながら芝生の上でデイキャンプやバーベキューを楽しむことができます。
綺麗な炊事場に東屋、トイレも全て利用は無料!東屋には大勢で座って食事ができるようウッドテーブルとベンチが並び、海水浴場のオープン期間(毎年7月20日前後から8月15日頃まで)は更衣室も利用できます。
さらに大人30人以上の団体なら地引網体験も可能!せっかくビーチクリーンをするなら、旅行の最後まで海の魅力を詰め込みましょう!
白浜ビーチパーク
所在地 〒986−0201 石巻市北上町十三浜字丸山37−1
電話 0225−61−7713
地引網体験
料金 1回 40,000円
予約 0225−98−9861(石巻市北上観光物産交流センター)
石巻市の牡鹿半島、小渕浜にある割烹民宿めぐろ。
世界3大漁場の一つである「三陸金華山沖」で獲れた魚介類を中心とした豪華な食事をいただくことができます。中でも創業当時からの目玉は「キンキのみぞれがけ」。
一尾丸ごとカリッカリに揚げた高級魚のキンキに出汁のきいたみぞれダレを上からかけた一品は、頭から尻尾の先までサクサク!骨まで残さず食べられます!
他にも目の前の海で朝採れたばかりの魚介類や、運が良ければ牡鹿半島を中心に石巻で伝統的に食されてきた鯨の肉もいただけるかもしれませんよ。
割烹民宿 めぐろ
所在地 〒986-2415 宮城県石巻市小渕浜カント2−1
電話 0225-46-2515
参考記事:視察を兼ねた社員旅行で農業体験!「イシノマキ・ファーム」でソーシャルファームの取り組みに触れる旅
他人事とは言えないところまできている海洋ゴミ問題。深刻な問題だからこそ“熱く、楽しく、ファンキーに”、自分たちのできることから始めてみませんか?
東北の今、石巻の今を知るためにもまずは社員旅行で石巻海さくらのビーチクリーンにぜひ参加してみてください。その後は職場や地元に近いエリアで活動している海さくらで継続して参加するという形もアリですよ!
◯石巻海さくらのビーチクリーンが社員旅行におすすめな理由◯
●大人数で楽しむことができる
●SUPやカヌーの体験も組み合わせ可能!
●“熱く、楽しく、ファンキーに!”をモットーに、誰でも参加しやすい
●海だけでなく、被災地・石巻の今を知ることができる
●全国に24の「海さくら」があるので、継続した関わりを持てる
■取材協力・写真提供
一般社団法人 石巻海さくら
<住所>〒986-2137 宮城県石巻市さくら町5丁目12-1
<問い合わせ>info@i-umisakura.com
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