ワーケーションやリモートワーク、サテライトオフィスなど、場所や時間にとらわれない働き方が日本にもだいぶ浸透してきている昨今。
今回ご紹介するのは、テレビの地デジ化に合せて県内全域に光ファイバー網を敷いたという徳島県神山町と、そこで地域活性の成功例を次々と生み出している「NPO法人グリーンバレー」。
リモートワークやサテライトオフィスを検討している職場など、視察を兼ねた社員旅行の行き先におすすめです!
徳島県神山町はJR徳島駅から車で40分ほどのところにある、スダチの生産量日本一、お遍路さんへの“お接待文化”が残る山間部の町です。
神山町は現在、サテライトオフィス誘致を筆頭とした新しい働き方やまちづくりの先駆者として注目を集めています。
そんな神山町について、今回は二つのキーワードを軸にご紹介します。その一つ目が「光ファイバー」。
日本では、2003年から2011年にかけて行われたテレビ放送の地デジ化以降、テレビがインターネットに接続できるようになったり高画質高音質になるなど進化を続けています。
テレビのリモコンの“Gボタン”や各テレビ局のオンデマンド放送、NetflixやAbemaTVなどはその代表例です。
一方、徳島県では地デジ化の準備段階で、アナログ放送なら10のチャンネルを見られていたテレビが、地上デジタルに切り替わると大部分の地域で3つのチャンネルしか見られなくなるという問題が見つかりました。
その対策として進められたのがケーブルテレビの普及と、県内全域の光ファイバー網の整備です。光ファイバーは神山町のような山間部の町にも漏れなく張り巡らされ、その通信速度は東京よりも速いのだそう。
現在日本でも耳慣れてきたサテライトオフィスやリモートワーク、これから定着していくであろうワーケションなどといった新しい働き方は、インターネット環境が最大の鍵になります
。徳島県の光ファイバー網の整備は、そうした時代の流れにぴたりとマッチしました。
もう一つのキーワードは「NPO法人グリーンバレー」。『日本の田舎をステキに変える!』をミッションに、神山町で地域活性化などに取り組んでいます。
グリーンバレーが、神山町と共同で立ち上げた「神山つなぐ公社」と共に運用しているwebサイト『イン神山』は、トップページに大きくイベントカレンダーを配置。
アートやものづくり、マーケット、ごはんなどさまざまなカテゴリーのイベントが目に飛び込んできて、カレンダーを見ているだけで神山町に行ってみたくなる、心動かされるwebサイトです。
神山町に外から人が集まって来るきっかけとなった『神山アーティスト・イン・レジデンス』を立ち上げたのもグリーンバレーの前身である「神山町国際交流協会」でした。
神山アーティスト・イン・レジデンスとは、神山町で2ヶ月ほど滞在しながら制作活動を行うアーティストを、国内外から毎年募集するというプロジェクト。
これをきっかけに神山町にアトリエを構えるアーティストやクリエイター、IT系のフリーランスが集まって来るようになり、企業誘致の流れが生まれていきました。
グリーンバレーはその他にも、「ワーク・イン・レジデンス」などの移住推進コンセプトや滞在型の社会人再教育プログラム「神山塾」、中高生の教育支援を行う「農家村塾」など、神山町で多岐にわたって活動。
さらに最近は私立高等専門学校「神山まるごと高専」の設立と、その学校長募集を開始したことでも話題になっています。
サテライトオフィスの誘致、アート、移住など様々な角度から町の活性化に成功している神山町での視察を兼ねた社員旅行。どんな出会いが待っているのか、想像しただけでワクワクしてきます!
以下に、グリーンバレーと神山つなぐ公社による視察やツアープランのいくつかをご紹介しますが、神山町は今や注目の的。基本的には他の視察希望団体との共同開催となります。
開催日程も二ヶ月先まで「in Kamiyama」の視察のページで公開されているので、それを元に同じく視察ページにある申し込みフォームから申し込みましょう。それでは、いくつかのプランをピックアップしてご紹介します。
サテライトオフィス誘致、移住支援、神山アーティスト・イン・レジデンスなど、まちづくりや創造的過疎に関してのレクチャー。
<料金と時間> 3,300円/人(税込、最長90分まで)
サテライトオフィスについて、その導入から運営上のことまでを企業経営的な見地から解説するセミナー。WEEK神山代表・隅田徹氏から、自社の事例や今後の課題などをうかがいます。
<料金と時間> 3,300円/人(税込、最長90分まで)
一般企業のサテライトオフィスや、コワーキングスペースの神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス(KVSOC)を訪ねるガイドツアー。
※KVSOC以外の視察については外観のみ。
<料金と時間> 1,650円/人(税込、最長60分まで)
1999年から続く神山アーティスト・イン・レジデンス事業を通じて制作された、町内各所に点在するアート作品の見学ガイドツアー。
※大粟山アート作品の見学は、山の中を歩いて回るので、歩きやすい服装で参加しましょう。
<料金と時間> 1,000円/人(税込、最長60分まで)
この他、後ほど紹介するFood Hub Projectに関するレクチャーや個別コンサルのプランなどもあるので、ぜひ「in Kamiyama」の視察のページをチェックしてみてくださいね!
※一社のみでの開催や別日程での開催などは応相談。対応するスタッフの方々の負担も考慮しながら、自社に合った視察旅行の計画を立ててみてください。
神山町から徳島市内まで車で40分ほどなので宿泊や観光は市内に戻ることもできますが、神山町にも観光、食事、宿泊と素敵なスポットがありますよ。せっかくなら、神山町の魅力を存分に味わうプランをおすすめします。
古くからの歴史と云い伝えが残る神秘的な場所や、新しい取り組みに触れることができるスポットをいくつかご紹介します。
株式会社フードハブ・プロジェクトが運営する食堂「かま屋」。「フードハブ・プロジェクト( Food Hub Project)」とは『地域で育て、地域で一緒にたべることで神山の「農と食」を、次世代につなぐ』ことを目的としたプロジェクトで、農業を軸に食堂・パン屋・食料品店の運営や食育の活動をしています。
「地産地食」を合言葉に、農業者の高齢化、後継者不足による耕作放棄地の増加や鳥獣害の被害などといった、神山町だけでなく日本の中山間地域の多くが抱えている課題と向き合っています。
食材だけでなく調味料も産地にこだわるかま屋。webサイトには、「地域で育てて、地域で食べている割合」=「産食率」を週ごとに集計報告していたりとこだわりたっぷりです。
かま屋
<住所> 〒771-3311 徳島県名西郡神山町神領北190-1
<電話> 050-2024-2211
<定休日> 月、火(月または火祝日の場合は営業)
<時間>モーニング 8時〜10時、昼ごはん 11時〜14時(売り切れ次第終了)、お茶 14時〜18時(17時半L.O.)
※晩ごはん ご予約のみ(お気軽にご相談ください)
神山町は決して大きくない町ですが、おしゃれなゲストハウスや農家民宿、温泉付きのホテルなど形式さまざまな宿泊施設があるので、人数や好みに合わせて選ぶことができます。その中でも、神山町への視察や研修旅行などでよく利用されているのが「WEEK 神山」です。
「暮らすように滞在したり、場所を変えて働いてみる」。そんな声から生まれたWEEK神山は自然に囲まれた宿泊施設で、目の前にはコワーキングオフィス(KVSOC)があります。
宿泊棟は全部屋、鮎喰川に面した壁が一面ガラス張りになっています。パノラマに広がる鮎喰川と緑豊かな神山の風景が、まるで自然に包み込まれているような、部屋にいるのに自然の中にいるかのような感覚をもたらしています。
WEEK 神山
<住所> 〒771-3421 徳島県名西郡神山町下分字地野57
<電話> 088-677-0313(10:00〜19:00)
<定休日> 月、火
<料金> 1泊朝食付き6,600円(税込)~
<収容人数> 最大24人
<チェックイン/チェックアウト> 15:00〜19:00/10:00
お遍路で参拝する八十八ヶ所の霊場のうち、二番目に高いところにある札所。昔々、この地へ弘法大師が修行に訪れた際、山火事とその直後に現れた大蛇を退治したという云い伝えと、大蛇を閉じ込めたとされる岩窟が今でも残っています。
参道に並んだ100本以の杉の木は、樹齢500年超え!思わず息を飲むほどの存在感です。
そしてお寺のもっと先へ進むと、奥の院が建つ山頂からは、神山町内を見渡すことができます。「へんろころがし」と呼ばれる厳しい坂道もありますが、現在は車でも登ることができるようになっています。
四国霊場12番札所 焼山寺
<住所> 〒 771-3421 徳島県名西郡神山町下分字地中318
<電話> 088-677-0112
<料金> 無料(駐車場を使用する場合は志納料として普通車300円~)
<アクセス>
JR徳島駅から約36km 車で約1時間15分
高松自動車道板野ICから約40km 車で約1時間30分
徳島自動車道藍住ICから約40km 車で約1時間30分
日本の滝100選にも選ばれており、高さ45m、三段からなる美しい滝。春夏秋冬、それぞれに違った絶景を見せてくれます。
駐車場から雨乞の滝までの約700mの間に、うぐいす滝・不動滝・ 地獄淵・もみじ滝・観音滝も楽しむことができます。雨天時は足元が滑りやすくなるので、歩きやすい服装を準備しましょう。
雨乞の滝からさらに30分ほど進むと、「邪馬台国阿波説」の云い伝えが残る「悲願寺」へも行くことができます。悲願寺についてもこの後ご紹介しますね。
雨乞の滝
<住所> 〒771-3310 徳島県名西郡神山町神領字石堂
<電話> 088-676-1118(神山町役場 産業建設課内 神山町観光協会)
<アクセス>
JR徳島駅から約28km 車で約1時間
高松自動車道板野ICから約30km 車で約1時間10分
徳島自動車道藍住ICから約30km 車で約1時間10分
※上記の距離・時間は駐車場までのものです。
雨乞の滝から坂道を登ること30分。“邪馬台国の女王・卑弥呼は阿波にいた”とする「邪馬台国阿波説」を現代にひっそりと伝え続けているお寺です。
邪馬台国だったとされる土地は、出雲、九州、越前など諸説さまざまありますが、現在も謎に包まれたままです。山の中に静かに佇む悲願寺は、そんな日本の歴史の神秘を内包している場所で、千手観音や天照大神なども古くから祀られていたとされています。
悲願寺
<住所> 〒771-3310 徳島県名西郡神山町神領字石堂
<電話> 088-676-1118(神山町役場 産業建設課内 神山町観光協会)
<料金> 無料
<アクセス>
JR徳島駅から約40km 車で約1時間30分
高松自動車道板野ICから約45km 車で約1時間40分
徳島自動車道藍住ICから約45km 車で約1時間40分
※上記の時間は悲願事へ車で直接向かう場合です。雨乞の滝から徒歩で向かうこともできます。
サテライトオフィスの誘致など新しい働き方や、現代日本全体の課題といえる地域活性化など多くのことを学べる神山町。そこには、産業・教育・文化など様々な要因が内包されていて、「全く関連しない」職業なんてないに等しいのではないでしょうか。
神山町で行われている多岐にわたる取り組みを知ることは、きっとどんな人の仕事にも、そしてどんな人の人生にも、大切な気づきを与えてくれます。視察を兼ねた社員旅行なら、神山町が一押しです!
◯徳島県神山町が視察を兼ねた社員旅行におすすめの理由◯
●ワーケーションなどにぴったり!「県内全域光ファイバー網の整備」という他に例を見ない好環境
●サテライトオフィスの誘致や移住希望者向けの取り組みが成功している
●視察やツアーのプランも充実
●農業や教育など様々な視点からの学びが期待できる
●雄大な自然と古くからの文化や云い伝えが今に残る豊かな町
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■取材協力・写真提供
NPO法人 グリーンバレー
<住所> 〒771-3310 徳島県名西郡神山町神領字中津132番地 神山町農村環境改善センター内
<電話> 088-676-1178
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